ベトナム語には、音の高低を表す声調(Thanh điệu)というものがあります。発音の音の高低で意味が変わってくるベトナム語。今回はそんなベトナム語の声調を考えてみます。
ベトナム語 母音に泣かされ 次子音、最後の難関 6つの声調。ベトナム語の発音が難しいといわれる所以のもう一つがこの声調です。ベトナム語は中国語と同じ声調言語、つまり、音の高い低いで違うことばを表現する言語です。つまり、同じ音でも高低が違うと違う意味になってしまうことがあります。ベトナム語には6種類の声調があります。一つづつ見ていきましょう。
thanh ngang (平らな声調)
記号は何もつけません。平らに抑揚をつけずに自分の声の平均的な高さで「アー」と発音します。この声調をthanh ngang といいます。 thanh は声調、そして ngang は平らという意味です。このthanh ngang の音を基準に他の声調の高低をつけます。
thanh huyền (架かる声調)
下がる声調です。thanh ngang と同じくらいのところからスタートし、ため息をつく要領で「あぁー」と音を下げながら発音します。
thanh sắc 鋭い声調
高めのところからより高いところへ発音していきます。「えー!うそー」の「えー!」のように発音します。
thanh hỏi (問う声調)
hỏi は質問するという意味で 、thanh hỏi で最初下がったあとまた上がる声調をいいます。がっかりしたときの「あーあ……」のような要領です。
thanh ngã (倒れる声調)
ngã は倒れるという意味で、 thanh ngã であの波線マークの声調を指します。北部の発音が青色の線、南部の発音を黄色の線で表しています。
まず北部ですが、音を高めていく途中で、のどをしめて、また喉を開けて最後の音を出します。のどを締める、というのは、「まっか」と発音するとき、小さな「っ」のところで喉が絞まるように感じますね。この「まっか」をだんだん音程を高くして読むとこの thanh ngã の音になります。
南部の発音は、先程の thanh hỏi (問う声調) といっしょです。難しいという人はまずは thanh hỏi (問う声調) と同じように発音してください。
thanh nặng (重い声調)
nặng は重いという意味。その名の通り、低いところから一気に下がって重く終わるように発音します。この声調を綺麗に発音するコツは、最後にのどを締めて終わるという点です。つまり、「あっ」「まっ」のように小さなつをつけて終わるような感覚です。
北部は青色で示したように、低い音をのどを締めて潰すように発音します。
南部は黄色のように、ゆったりと入って最後に少し上昇します。あまり喉を締めません。最初はこちらのほうが発音しやすいかもしれませんね。
声調をすべて並べると
北部発音
学んだ声調をすべて並べるとこのようになります。ここで注意が必要なのが、青色で示した2つ。この2つは、「のどを締める」つまり日本語のちいさな「っ」の要領の発音が求められます。図の点線の部分で、「まっか」「ばっは」「あっ!」のような小さな「っ」を入れる要領で発音します。
南部発音 (まずはこちらからマスターしましょう!)
なに?そんなの難しくてわからない?それではホーチミンを中心に話される南部の発音を勉強されることをおすすめします。 thanh hỏi (問う声調) と thanh ngã (倒れる声調) が同じ発音になります。 thanh nặng (重い声調) はとりあえず低く発音すると通じる発音になります。この発音は北部でも問題なく通じますので、まずはこの5つの発音をマスターしましょう。
(おまけ)中部発音(勉強してはいけません)
ちなみに、ベトナムの中部の発音になるともっと簡単で三種類しかありません。ほとんどが重い声調で発音されます。このルールを知っておくと、中部の発音の訛りがあるベトナム人の話が少しわかりやすくなりますよ。
でも簡単だからといってこの発音を覚えないようにしましょう!中部の発音は、北部や南部の発音とは違い、中部以外のベトナム人にとっても聞き取りづらい発音です。
実際の発音を聞いてみましょう
単語の声調を聞く
ベトナム人と会話をしていて、名前や地名、単語などをきくときに、声調を確認したいということもあります。そんなときは、
Thanh điệu của từ này như thế nào?
と聞くことができます。Thanh điệu は声調という意味です。
いかがだったでしょうか。この記事では、音の高低を表す声調をみてみました。発音の音の高低で意味が変わってくるベトナム語。日本人にとって難しい発音のルールです。ぜひたくさんベトナム語を聞きながら、体になじませてゆきましょう。