中国の歴史

小学生でも分かる三国志 その1 中国の英雄たちの登場

12月11日から「新解釈三国志」が始まりますね。中国の歴史といえば「三国志」ですよ。でも三国志、名前だけ知っていて内容まで走らないという人が多いのではないでしょうか? 一連の記事を通して、三国志とはどんな話何かを見てみましょう。

中国の戦国時代! 

中国の歴史といえば三国志って言いますよね、でもお恥ずかしながら、三国志ってどんな話なのか知らなくって……

三国志、日本でもとても人気があるお話ですよね。中国の歴史といえば三国志というくらい有名なお話です。

しかし、登場事物多すぎる、戦の数多すぎる、全部やると絶対消化不良になる……一から勉強しようという気力がわかないというのが正直なところではないでしょうか? 2020年12月11日より、「新解釈三国志」という新しい三国志の映画も始まります。それでこの記事では、三国志の要点だけをかいつまんでどんなことがこの時代に起きたのかを一緒に考えてみたいとおもいます。

でもなんで三国志っていうんですか?

良い質問ですね。

wèi」「」「shǔ

この時代、「魏」「呉」「蜀」という三つの国が存在し覇権を争っていたのでこの名前がついています。

でもこの三つの国、ただの国ではありませんでした。この3つの国のリーダーはみな、自分のことを「皇帝」と名乗ったのです。中国史で皇帝が一度に3人現れたというのは初めてのことでした。非常に特殊で非常に群雄割拠だった時代、それが三国時代だったのです。

平和な時代というのはあまり話も面白くありませんが、日本でも戦国時代の話は面白くファンも多いですね。三国時代は中国版の戦国時代。それでその物語に多くの人々が魅せられたのです。

中国の王朝!

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このサイトでも以前、中国の王朝の覚え歌をお伝えさせていただきました。この中の「漢」の時代、「前漢(西hàn)」と「後漢(dōnghàn)」を御覧ください。三国志はこの漢の時代から始まります。

漢はすごい栄えた国でした。前漢後漢とものすごく長く続いた漢王朝。それが崩れたのが三国時代。三国志は後漢の終わりから晋の始まりまでの時代を言います。

日本だと卑弥呼の時代になります。卑弥呼の時に中国では高度な戦争が行われていたというのは驚きですね。中国はもう漢字が生まれてものすごい戦いが行われていたのです。卑弥呼の勉強の時によく出てくる「魏志倭人伝」というのは「魏志」という三国時代の「魏」の国の歴史書の倭の国に関するちょろっと書かれた記述です。

正史と演技

三国志と言っても3種類が存在します。「正史」と明の時代の「演義」、そして清の時代の「演義」です。

正史(せいし)← ガチの歴史書

中国語: sānguózhì

正史は晋の時代の正式な歴史書です。 晋は魏の後を継ぐ国ですので、魏を主人公にかかれています。 しかし作者の珍寿が蜀の出身なのでちょっぴり蜀びいきの書き方がなされています。正史は歴史書であるがゆえに面白くはありません。

演義(えんぎ)← 三国志の物語 フィクション

中国語: sānguóyǎn

この三国志の歴史をめちゃくちゃ面白く物語にしたのが「演義」です。この「演義」には2種類あります。

まずはじめに、明の時代の羅漢中という人が書いたもの。明は上でも取り上げましたが元のあとの国です。元とはチンギスハン率いるモンゴル民族によって漢民族の国が乗っ取られた時にできた国。その元から漢民族が中国を取り返してできたのが「明」でした。それで、漢民族のナショナリズムに訴える物語が好評を博した時代でした。

三国志の中の登場人物、蜀の国のリーダー劉備は漢民族の王家の末裔と言われています。その劉備が漢王朝を復興させようとするストーリーで書かれた物語が、明の時代の「演義」です。漢王朝末裔の劉備を主人公にすることで、明の時代の人々の漢民族ナショナリズムに訴える物語が作られた、それが、明時代の「演義」です。

もう一つの「演義」は清の時代に毛宗崗という人によって書かれました。漢民族の国「明」しかし、北方の異民族によって再び中国は乗っ取られます。そして異民族が立てた国が「清」でした。このように「清」は漢民族の国ではないので清時代バージョンの「演義」は漢民族バンザイ要素を薄めて、その代わり「仁義」を強調した物語となりました。

劉備のもとに、関羽という正義感の強い部下がいました。関羽は何があっても劉備を裏切らない仁義に熱い男でした。それで関羽を主人公にすることで、この三国志の物語を「仁義」と「儒教」の教科書にしよう、そのような目的でできたのが、清時代バージョンの「演義」です。この事のために、今でも中国では、三国志でいちばん人気なのは3人の皇帝を差し置いて「関羽」なのです。

さて、一般に三国志と呼ばれる本は正史ではなく「演義」のほうになります。日本でも人気なのは「演義」です。

え! 私達が「三国志」というのは本当は「演義(三国演义)」ってことなんですね。ややこしい……

ほんとうですね……それではこの三国志の「演義」とはどのようなお話なのでしょうか、という点をこの記事では取り上げます。 実際にその世界に入ってみましょう!!

あ! YouTubeも見てくださいね!!

腐敗した漢王朝←外戚と宦官の泥沼

時代は超巨大な帝国「漢」。

漢は、漫画キングダムでおなじみの秦の始皇帝の「秦」が潰れてできた国です。始皇帝はとてつもなく賢い皇帝で、中国の歴史に何百年と残る政治経済システムの基礎を作りました。しかしあまりにも急に仕組みを変えたので周りがついていけず反乱が生じ秦は滅亡します。

その混乱を打ち破ったのが項羽と劉邦。強い項羽と人徳の劉邦と呼ばれた2大リーダー。しかし英雄は世に一人しか許されません。戦いの末、最後に勝ったのは劉邦。その劉邦が作った漢王朝は超巨大、超強力の大帝国となりました。

しかし漢はじわじわとしかし着実に腐っていったのです……

時の皇帝は、「霊帝(れいてい)」。しかし霊帝は、外戚と宦官という2つの存在にコントロールされていました。

外戚(がいせき)」とは、皇帝の母方の親戚のことです。皇帝に嫁を与えたら嫁の親とか嫁の兄は偉くなるということが行われていました。皇帝に嫁さえ与えれば その家族は強くなる、それで我先にと皇帝に娘を嫁がせて、次の皇帝を産ませて、権力を得ようとしていったのです。

そしてもう一つが「宦官(かんがん)」。これは恐ろしい中国の仕組みです。皇帝は妻たちをたくさん持ってハーレムを作るから、ハーレムのお世話をする男の人が必要になります。しかし、その部下の男と皇帝の妻が不倫な性関係を持って、間に子供ができたら、跡継ぎ争いとかスキャンダルとかで戦争につながる大変なことになります。それで、男性の生殖器を切除し、予め皇帝の女に手を出すことができないようにした人材が作られました。これを「宦官」といいます。

それほどまでリスキーなことをしてでも王宮の中枢で働きたいとやってきた宦官たち。その権力欲は半端ではなく、絶対に偉くなりたいとどんどん出世していきました。その宦官の中でも、常に皇帝のそばにいるトップテン「十常侍(じゅうじょうじ)」がすべてをコントロールし始めるのです。

外戚は幼少の頃は義理のお父さんお母さんと甘えるから権力が強い、しかし、皇帝おとなになると自我が芽生えて、義理のお父さんとかに操られたくないと思う、それで側近の宦官を使って外戚を葬り去る。このように皇帝が子供の頃は外戚優位、大人になったら宦官優位と、外戚と宦官が殺しあいながらとにかく皇帝を甘やかしていくというとんでもないスパイラル状態が続きます。そして皇帝である霊帝は完全にスポイル状態。漢王朝の内部はグズグズに腐っていました。

そんな感じなので国の民たちは貧しくてボロボロ、税金ばっかり、賄賂ばっかり、民はどんどん飢えていきます。

黄巾の乱← 謎の宗教テロ

そんななか、ボロボロの民たちの願いをかき集めて大人気になる宗教団体が現れます。そしてその宗教団体はどんどん拡大していきます。

その教祖が「張角(ちょうかく)」。

zhāngjiǎo

張角は道教の太平道という宗教の教祖でした。

道教というのは、自然に帰ろう、自然に委ねようということをモットーとした宗教で老子という人がはじめました。この自然に自分を委ねようという概念がどういう具合が

自然に委ねよう

自然を大事にしよう

自然を操ろう

という思想に変化していきます。そして張角は、自分が天候を操り、病気を治せると主張し始めます。民は張角のもとにどんどん集まります。祭り上げられて祭り上げられてとんでもない数の信者になりました。

それで、この勢いに乗って漢王朝を潰そうと立ち上がりました。張角率いる農民がイメージカラーの黄色い頭巾を巻いて反乱を起こします。これを「黄巾の乱(こうきんのらん)」といいます。

最初は漢王朝もただの農民となめていたのですが、黄巾の乱は宗教集団なので死を恐れない自爆テロ状態になり、とうとう漢王朝もやばいかもと恐怖を感じるようになります。これではいけないということで、全国から漢王朝を守る官軍を呼び集めようということになります。

その中心となったのが「何進(かしん)」というひと。何進は外戚で、自分の妹を霊帝の妻にさせて権力を握っていました。権力を取られてはかなわないと、打倒黄巾の乱のための官軍を募集します。ここで今まで色んな所で雌伏していた強いやつが集まってきました。

この官軍の中でリーダ核の人物が「袁紹(えんしょう)」

yuánshào

彼は四世三公、国のスリートップの役職に四代に渡ってはいっている、つまり4代に渡って総理大臣をやっているようなサラブレッド スーパーエリート。

そしてこの官軍の中には、その中に、のちの三国志を彩る英雄たちもいたのです。

曹操(そうそう) cáocāo

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この度、小栗旬さんが演じる曹操。曹操は、宦官の中ではちゃんとしている方の宦官の養子になった男のもとに生まれた子供。ということで比較的エリートの生まれです。

劉備(りゅうび) liúbèi

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この度、大泉洋さんが演じる劉備。自分はは劉邦の漢王家の末裔だと言っているだけで貧しい、しかしめちゃくちゃ人望が厚くて、町でいろんな奴らやワルたちを束ねていき、そのもとにどんどん人が集まっていきました。その時に出会ったのが関羽と張飛。

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関羽(かんう)   guān

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張飛(ちょうひ)   zhāngfēi

二人は劉備の人徳に惹かれて一緒になります。そして3人は「俺たちは生まれた日は違うが死ぬ日は一緒だ」と誓いをします。これが「桃園の誓い(とうえんのちかい)」です。

なるほど、黄巾賊を沈静化するために集まった武将がのちに三国時代を作り上げるのですね!!

そうなんです!!

さてさて、黄巾党は官軍の働きで潰すことができます。張角が病で死ぬのです。しかし時代は確実に新時代へと動き出していました。ここから、武将たちの時代が始まるのです……

続きは……

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