カルチャーハックとは、文化の良い面を取り入れていくとともに、その文化の弱い部分を見つけて修正し、変化に適応していくことです。「culture 」という言葉に「hack」という言葉をつけて作られた言葉です。
文化とは何でしょうか? 文化に合わせなければならないのはなぜでしょうか? 自分をすべて文化に合わせることが正義だと言えるのでしょうか?
文化とはなにか?
文化とは、「一つの生活様式の特徴となる,共通の概念や……習慣や信条や知識の総体」と定義されてきました。難しい定義ですね。少し分解して考えましょう。
子供は親に育てられます。そして親の躾を受け入れることとなります。子供は親を喜ばせたい、親に受け入れられたいと思って、親に合わせていきますね。
やがてその子供がおとなになると、今度は周りの人に受け入れられたいと考えるようになります。そして一般の人が大切だと思うことを自分も大切にしていきます。
このように私達は、人生で、他の人に受け入れられるだろうか、コミュニティーの仲間に入れるだろうかという命題に常に突きつけられています。
このようにして、周りに受け入れられることと受け入れられないことが漠然と形になっていきます。この「周りに受け入れられるか受け入れられないか」の要素が、文化だと言えます。
文化を受け入れるメリット
先程も言ったとおり、文化とは、「大衆に受け入れられるか受け入れられないかの要素」です。それで、私達が文化を受け入れるなら、その人々に受け入れられます。大多数に受け入れられる行動をとると……
人に好かれ良い人間関係を楽しめる
大多数の人々の気持ちを理解して正しく接してくれる人は好感を得ます。結果、文化を尊重する人は友達やパートナーに恵まれます。人に好かれる人は、良い人間関係を謳歌できます。相手はあなたが自分のことを理解してくれていると信頼するので衝突は起きづらくなります。
いじめを回避できる
人はグループにとって害となる存在を排除しようとする性質があります。それが過剰に働いて、文化に沿わない行動を取るものを排斥しようとする、それが「いじめ」です。文化を軽視する人は、相手が安心する振る舞いをすることができません。その結果、相手はその人を敵だと認知してしまい、結果いじめが起きてしまうのです。
人を許せるようになる
文化を知らないと、違う文化の人の行動を誤解してしまうことがあります。なんであんなことをするんだろうと思ってしまうのです。しかし、その場所の文化を理解すると、相手がそのようにした理由がわかり、人を許せるようになります。
人を動かす事ができる
文化を尊重する人は他人からの信頼を勝ち得ます。その結果、相手を動かすことができるようになります。
文化を退けるべきとき
そうおもいますよね。とはいえ、文化だからと言ってすべて受け入れていいわけではありません。
文化にはそれぞれ弱い点が有る
あまりに文化を意識しすぎると、改善の余地を放置してしまうことがありえます。
たとえば、衛生という点を考えてみましょう。日本は世界的に見てもきれいづきだと言われています。しかし国によってはもっと衛生に関する感覚が低いところもあります。例えば、ポイ捨ては悪いことと思わない文化が有るとします。
では、その文化を受け入れるべく私達もポイ捨てをするのでしょうか。そうではありませんね。これはその文化の弱い部分です。であれば、弱い部分に迎合するのではなく、世界的な基準で物事を行っていく必要があります。つまり、日本ほど衛生をきっちりしなくても、手洗いをする、ゴミはゴミ箱に入れる、といった事柄を行っていくことは妥当でしょう。
信念を曲げてしまう
私はこれが最も気をつけなければならない点だと思います。よくこのようなこと場がありますね。
赤信号、みんなで渡れば怖くない
道徳観や信念というものは人を堕落させない一定の役割があります。しかし、みんながしているから、みんながそう考えるからと大衆に迎合してしまうと、どんどん自分の大切にしていた道徳や信念が失われてしまうことがありえます。
歴史を見てもこれは明らかではないでしょうか。民衆の気まぐれな流れが戦争や社会の崩壊につながったということが度々起こってきました。これはかなりスケールの大きな話ですが、私達は個人としても周りに合わせすぎると大切なものをどんどん失っていってしまいます。
例えば、勤労を重視する文化が有るとします。勤労はとても大事です。しかし多くの人が極端にこのように考えていきます。家族や健康よりも仕事が大事だ。このような考えにどんどん迎合していくとどうでしょうか? 家族や自分の健康といった大事なものを失ってしまうかもしれません。
カルチャーハックとは?
文化は受け入れるべき、しかしすべてを受け入れることは正義ではない。外国で生活するようになると日々そのことを実感します。また、外国から帰ると、今まで空気のように自然だった日本の文化が、世界から見ると独特だったということに気づかされました。
この文化というものをなんと何とか付き合っていこう。これが「カルチャーハック」の意義となります。
カルチャーハックとはどういう意味でしょうか? 文化の良い面を取り入れていくとともに、その文化の弱い部分を見つけて修正し、変化に適応していくことです。
カルチャーハックは、「culture 」という言葉に「hack」という言葉をつけて作られた言葉です。hack というと、コンピュータに秘密裏にアクセスするハッカーを思い出しますね。しかし、このhackという言葉にはいろんな意味があります。一つのイメージとしては、「完璧ではないけど、アイデアなどを駆使してかろうじてうまく行っていること。それでいて、それなりに効果的な解決方法」といったことを指します。
今の世界は多くの変化の中にあります。完璧な解決策というものがあるのは少ない。私が経験した、言語学習や海外生活、グローバルな生き方にも完璧な解決策というものはありませんでした。でも試行錯誤を繰り返して、誰かに頼ってどうにかこうにかしているうちに、完璧ではないけど効果的な答えみたいなものに辿りつくものです。そんな、不器用に涙しながらの試行錯誤の軌跡をここにしたためていけたらなとおもっています。