変化の激しい現代社会を生き抜くには一筋縄では行かないと思える状況に遭遇します。また、依るグローバルな見方が必要な昨今、海外では日本のルールが全然通用しないなんて状況が毎日生じます。また、そんなときに役立つのが「原則」なんです。今回はそんな「原則」とは何か、どうすれば自分の生活に役立てることができるのかについて深堀りしてみたいと思います。
昨今、目まぐるしくトレンドは代わり、ものすごい速いスピードで物事は進み、世界規模のスケールでやり取りが行われている時代です。
あまりに変化が早すぎて、目の前のことにしがみつくあまり、自分ってなんなんだろうと感じるようなことってありませんか。
また、「日本の常識は世界の非常識」なんて言われることがありますね。今まで教えられて来たルールと全く違う考えをする人たちとどうすれば接することができるでしょうか。
そんなときに、海外では「原則で物事を考えるように!」と勧められます。「7つの習慣」というベストセラーにも原則で考えるようにというアドバイスがなされました。原則で考えれば、どんな時代でも、どんな場所でも、どんな年齢でも当てはめることができるというのです。
しかしここで、日本語を話す私達には一つの不利な点があるんです……
日本語の「原則」と英語の「principle」
では質問です。日常生活で「原則」という言葉をいつ使いますか?
そう、日本語では、「例外があるざっくりした規則」という意味合いがあります。「原則」という言葉を国語辞典で調べてみると、
「多くの場合に共通に適用される基本的なきまり・法則。「原則を立てる」「原則から外れる」「原則として部外者の立ち入りを禁止する」」デジタル大辞泉(小学館)
となっています。つまり、日本語では原則は規則の一種なんです。
では、一般に「原則」と訳される英語の「principle」という言葉にはどんな意味があるでしょうか? オクスフォード辞典にはこうあります。
A fundamental truth or proposition that serves as the foundation for a system of belief or behaviour or for a chain of reasoning.
信念や行動規範、推論の基盤となる基本的な真理または命題。
つまり「基本的な真理」という意味があることがわかります。最も基本的な事柄、絶対に変わることのないコアの事柄、世界や人間、この宇宙の基本となっている事柄、ということです。真理ですので、例外は決してありえません。まとめると……
ポイント
日本語の「原則」: 例外があるざっくりした規則
英語の「principle」: 基本的な真理。どんな時代もどんな背景の人もどんな場所でも例外なく当てはめられるもの
そのとおり! それでここからいう「原則」とは、英語の「principle」のことだということで話をすすめていきますね。
原則(基本的な真理)と規則(ルール)の違い
それでは「交通ルール」について考えてみましょう。日本には
- 左側通行をしましょう
という規則、ルールがありますね。でも、規則は時として例外が生まれます。例えば道の左側に障害物があるとします。では少し右の方に乗り出して運転を続けます。左側に体の悪いおばあさんがいるとします。では、右側を走っておばあさんを避けて走行します。
そしてこの「左側通行をしましょう」という規則、日本を出るとこの規則が通用しないかもしれません。例えば、アメリカや中国では「右側通行をしましょう」という別の規則があるのです。
このように、規則は、その場のシチュエーションや状況によって変化させねばならないものです。
では、原則はどうですか? つまり「基本的な真理」はどうでしょうか。
では考えてみてください。なんで左側通行をしなければならないんですか? なんで障害物を避けねばならないんですか? なんでおばあさんを避けないといけないんですか? なんで中国では右側通行をしなければならないんですか? それは、
- 安全第一
だからです。交通ルールの基本的な真理、それは「安全第一」です。安全第一に国も国籍も文化もありません。道を進むとき例外なく考えるべき最も基本的な真理、それは「安全第一」です。
それで、この「安全第一」という原則を押さえておけば、たとえあなたが中国に行って、右側通行を経験したからと言って行動すべき方法は自ずとわかってきます。
このように、基本的な真理である「原則」を抑えて行動できればどこでも誰とでも対応できるということになります。これを「原則を当てはめる」といいます。
ではまとめてみましょう。原則と規則は何が違いますか?
ポイント
規則: ある時や場所限定で当てはめられる命令、ルール
原則: 基本的な真理。どんな時代もどんな背景の人もどんな場所でも例外なく当てはめられるもの。
そう、原則は規則、ルールのもととなる基本的な真理なんです。
原則を抽出して当てはめる
原則を当てはめるには「原則を抽出して当てはめる」というプロセスが必要です。それには5段階があります。
ポイント
1.どんな規則があるかを考える
2.なぜその規則があるのかを考える
3.基本的な真理、原則を抽出する
4.抽出できた基本的な真理を、別のシチュエーションで当てはめる方法を考える
5.実践する
1.どんな規則があるかを考える
では、一つの例を考えてみましょう。これは実際に一人の教師が提示した原則の当てはめ方の例です。
- 「殺人をしてはいけない」
という規則があります。私達誰もが知っているこのルール。しかし、2000年前の一人の教師は掘り下げます。「なぜ殺人をしてはならないというルールが有るのですか」
2.なぜその規則があるのかを考える
殺人をすると、もちろん命が奪われます。命が奪われると困るので「殺人をしてはいけない」というルールが有る。ということは「命は大事だ」これが規則の理由となることがわかります。
また、殺人とは人を殺すことです。食事のために牛や豚は殺すことはあっても、人は殺してはならない、それは、「人の命は重要だから」といえるでしょう。
3.基本的な真理、原則を抽出する
ではどんな原則を抽出できますか?
- 人間の命は重要だ
という原則、基本的な真理です。これは、どんな国でもどんな時代でも考慮できる基本的な真理ですね。
4.抽出できた基本的な真理を、別のシチュエーションで当てはめる方法を考える
ではこの原則を、ほかのどんな場面で当てはめられますか。例えば、仲がよろしくない人がいるかも知れません。しかし、ずっと許さずに心のなかで恨みを感じ続けるならどうでしょうか。もしかすると「死んだらいいのに、消えてしまったらいいのに」と思ってしまうようになってしまうかもしれません。これは、人間の命を大切にしているという考え方だと言えますか?
5.実践する
このように考えると、他の人に恨みつらみを懐くことは「人間の命は重要だ」という原則に反していると言えるでしょう。ではどうできますか。恨むのではなく許すことができますか? もし自分にも非があるのなら相手に謝ることはできないでしょうか。
これが古代の一教師が教えた、原則を抽出して当てはめる一つの方法です。
このように、なにか規則を見つけたなら、その理由を考えて背後にある理由を知ることはとても良いことです。そうすれば「原則」というものを知ることができます。原則をしれたなら、新しい環境でもその原則を当てはめてふさわしい行動を取ることができるのです。
原則を当てはめることの益
このように原則思考で生活していくと、海外生活しているあなたはもちろん、日本で生活しているあなたにも大きな駅をもたらします。
変化に対応できる
ある人が大阪に住んでいるとします。大阪の支店に就職しています。大阪支店には大阪支店のやり方があります。大阪支店で働いていれば大阪支店のやり方、規則だけを知っていれば仕事ができます。
しかし次に、名古屋支店に転勤になりました。名古屋支店には名古屋支店のやり方、規則があります。名古屋支店のやり方をやっと覚えたと思ったら、次は東京本店へ! また東京支店のやり方、規則を覚え直します。やっと覚えたと思ったら、次は海外へ……
幾万とあるやり方、ルールをすべて覚えて実行するというのはとてもでありませんができません。
こんなときは、「原則」、つまり基本的な真理に立ち返りましょう。
大阪でも、名古屋でも、東京でも、海外でも基本的な真理は一緒です。
顧客第一
お客さまの幸せのために働く
これはあくまで例ですが、このように基本的真理である原則に立ち返ると、考えがシンプルになり、変化に対応できます。
ストレスを軽減できる
前の記事でも考えましたが、比較をするとものすごく精神的に疲弊していきます。しかし人間は他の人と比較する癖があります。でも、原則を考えるならどうですか?
例えば、お金が多いか少ないかで他の人と比べることがあるかもしれません。でも、「お金が多くなければならない」というのも一種の規則ですよね。なんでお金を多く持たねばならないのですか? それは、家族を養うため、幸せに暮らすため、ですよね。
- 自分の命を大切にする、家族を愛す。
これが原則です。では、たとえお金が少なくても家族が和気あいあいとしていたらどうでしょうか? もうこの原則は達成されているのではありませんか?
逆に高給取りの仕事でもストレスが多く、自殺してしまった。これでは原則を当てはめているとは言えませんね。
このように原則を考えるならば、「お金やモノのおおさ」や「能力」や「置かれた立場」などで他の人と比べて一喜一憂することから守られます。そして、本当に大切なのは何かということに目が向くようになるのです。
人にイライラしなくなる
例えばこんな状況ってありませんか?
- 会社の会議でいっつも私の意見に反対してくる人がいる……
よくありますよね。では、まずあなたはなんでその意見を言ったのですか? それは、「組織を良くしたい」という原則からですね。また、相手はなんで反対しましたか? それも「組織を良くしたい」という原則ですね。やり方やビジョンは違っても、目指すところ、原則はこうして考えると一致しています。こう考えると相手の見方も変わりませんか?
このように、枝葉にとらわれると大局を見失ってしまいますが、原則に立ち返るとより柔軟な考え方ができるようになり、イライラを軽減できます。
海外で生活できる
日本とは全く違うルールを設ける他の国。しかし、先程の「安全第一」と「人の命は大切」、この2つの原則を知っているだけでもかなりふさわしく行動することができるのではないですか? 命を大切にする人は人間関係を良好に保てます。安全を第一にすれば、どんなところで危険が生じるか予めチェックして置けるでしょう。このように、海外生活では原則思考というのが書かせません。
いいことですね! ぜひあなたも、原則を抽出して当てはめる というプロセスを踏んで、どんな状況でも良い決定をしていってほしいと思います。