中国の文明は、長江文明と黄河文明という二つの主要な文明を中心に発展しました。基本的に、人類は集まることで強くなる原理を持っており、気温が上昇して温暖な気候変動が起こった結果、農業に適した地域を求めて川の周りに集まり始めました。こうして人々は集団を作り、国家へと発展していったのです。
長江文明は、南を流れる長江に沿って発展し、黄河文明は北を流れる黄河に沿って発展しました。これらの川を中心にした文明は、長江文明と黄河文明と呼ばれます。
他の古代文明についても触れておくと、メソポタミア文明では楔形文字が使用され、ハンムラビ法典の「目には目を、歯には歯を」という有名な法典が作られました。また、インダス文明のインダス文字はまだ解読されていません。
文字を使って記録することができるようになったことが、人類の最初のイノベーションでした。この文字の発明により、言葉を構成して伝えることができるようになり、歴史を残すことが可能になりました。
中国においては、亀の甲羅や動物の骨に刻まれた甲骨文字が使われていました。古代ではこれらを使って占いを行っていたとされ、甲骨文字はその際に使われていた文字です。
このようにして、小さな村（邑）が形成され、やがて大きな村（大邑）へと発展し、最終的には国家や王朝が成立しました。中国で最初の王朝は殷王朝とされています。
中国の文明は、長江文明と黄河文明という二つの主要な文明を中心に発展しました。基本的に、人類は集まることで強くなる原理を持っており、気温が上昇して温暖な気候変動が起こった結果、農業に適した地域を求めて川の周りに集まり始めました。こうして人々は集団を作り、国家へと発展していったのです。
長江文明は、南を流れる長江に沿って発展し、黄河文明は北を流れる黄河に沿って発展しました。これらの川を中心にした文明は、長江文明と黄河文明と呼ばれます。
他の古代文明についても触れておくと、メソポタミア文明では楔形文字が使用され、ハンムラビ法典の「目には目を、歯には歯を」という有名な法典が作られました。また、インダス文明のインダス文字はまだ解読されていません。
文字を使って記録することができるようになったことが、人類の最初のイノベーションでした。この文字の発明により、言葉を構成して伝えることができるようになり、歴史を残すことが可能になりました。
中国においては、亀の甲羅や動物の骨に刻まれた甲骨文字が使われていました。古代ではこれらを使って占いを行っていたとされ、甲骨文字はその際に使われていた文字です。
このようにして、小さな村（邑）が形成され、やがて大きな村（大邑）へと発展し、最終的には国家や王朝が成立しました。中国で最初の王朝は殷王朝とされています。
殷と周 紂王 傾国の美女
古代中国の歴史を見ると、殷王朝と周王朝はどちらも同じ原因で崩壊しました。その原因は女性問題です。殷の王朝では、妲己という絶世の美女に溺れてしまったためです。「酒池肉林」という言葉がありますが、これは酒の池を作り、木々の枝に肉をぶら下げるという豪華さを表現しています。肉を枝にぶら下げることが楽しいかどうかは別として、当時の贅沢ぶりを象徴しています。
殷の王様は妲己に夢中になりすぎて政治を疎かにし、その結果、反乱が起きて王朝が滅びました。この物語は、漫画や小説でも描かれています。例えば、「封神演義」という漫画でも描かれています。
次の周王朝も同様に、美女に溺れて国が乱れました。権力のあるところには財や美女が集中しますが、全てが思い通りになると人は正常でいられなくなるという教訓がここにあります。周の武王もまた美女に心を奪われ、国を傾けてしまいました。この「傾国の美女」という言葉は、国を倒すほど魅力的な女性を指す言葉として今も使われています。
古代中国では、美女によって皇帝がおかしくなるという話が繰り返し語られていますが、それでも人類は少しずつ前に進んできました。
春秋戦国時代
王朝が崩壊した後には、春秋戦国時代が訪れます。この戦国時代は、後に統一されて秦という国が成立し、始皇帝が初めての皇帝として君臨しました。この時代を描いた漫画「キングダム」は非常に人気があります。
日本においても戦国時代は織田信長や豊臣秀吉などの英雄が登場し、非常に面白い時代です。しかし、世界史の教科書では中国の戦国時代が短く描かれていることがあります。これはフィクションと歴史の間に違いがあるためであり、もっと深く描いてほしいという声もあるでしょう。
フィクションとして楽しむ戦国時代と、歴史としての戦国時代は違うものだということを理解することが大切です。
なぜ戦国時代がバトル漫画として盛り上がるかというと、それは戦闘シーンが多く、興奮を呼ぶからです。しかし、世界史が記録される理由は異なります。世界史は、人類がどのようにしてうまく集まるかを知りたいと考えた王や指導者たちが、過去の歴史から学ぶために編纂したものです。つまり、世界史は後世の我々に「うまくいくにはこうしなさい」というメッセージを伝えるためのものなのです。
戦国時代は多くの人々が死に、殺し合いが続いた時代であり、そのような失敗の時代を詳細に描くことは、世界史の本来の目的には合いません。世界史の目的は、戦争を起こさず、うまく集まる方法を学ぶことです。したがって、戦国時代が薄く描かれているのは、人々が戦争を避けるための教訓を伝えるためです。
孔子と儒教
ただし、この時代において非常に重要な人物がいます。それが孔子です。孔子は思想家であり、彼の教えは後世に大きな影響を与えました。
この春秋戦国時代には、多くの戦いが繰り広げられていました。戦っているリーダーたち、つまり王たちが知りたかったのは、どうやって勝つか、そしてどうやって人々をうまくまとめるかということでした。彼らはアドバイザーを求めていたのです。強い王たちが知恵を貸してくれる人を探している時に、多くの知恵者たちが現れました。その中の一人が孔子です。
孔子は儒学や儒教と呼ばれる教えを王たちに伝えました。儒教の基本的な考え方は、「徳」が大事だということです。例えば、親を大事にしよう、生き物を殺してはいけないなど、道徳の徳です。徳のある王様がうまく国を治めることができ、徳のあるリーダーのもとには、礼を持って部下たちがついていくという考え方です。上は徳を持ち、下は礼を持つことによって、上下の関係がうまくまとまるというのが儒教の教えです。
これは確かにその通りだと思いますが、この考え方が日本人にも馴染み深い理由は、日本が一時期、儒教の徳の考え方を強く採用していたからです。それが江戸幕府の時代です。江戸時代には、儒教の徳の考え方が採用されました。
例えば、渋沢栄一が銀行を設立したことがありますが、彼の著書『論語と算盤』では、ビジネスをすることが大事だと説いています。ビジネスでお金を稼ぐことは大切ですが、同時に道徳も大事にしなければならないという考え方です。
しっかりとした会社では、社長が道徳を持ち、部下に対して礼を尽くすことが重要です。渋沢栄一もビジネスの重要性と道徳の重要性を説いており、彼は江戸時代から明治時代にかけての思想を受け継いでいます。江戸から明治初期にかけて、儒教の考え方が非常に浸透していたのです。
諸子百家
儒教の考え方は、日本人にとって親を大事にすることや道徳や礼を重んじることが馴染みやすいものでした。しかし、これは一つの考え方に過ぎません。当時、他にもさまざまな思想がありました。儒教の学者たちを「儒家」と呼びますが、他にも「法家」という派閥がありました。法家は、道徳や礼といった目に見えないものよりも、ルールや法律が大事だと主張しました。法律を作り、それを皆で守ることが重要だという考えです。
さらに「墨家」という派閥もありました。彼らは、ルールや徳よりも、全員平等の愛を重んじました。この考え方はキリスト教に近いものがあります。また、戦略家として有名な孫子の「兵法」を説く「兵家」もいました。兵家は、戦に勝つことが重要だとし、戦争に勝つための戦略を教えました。
このように、多くの思想家たちが並び立つ中で、後世に最も大きな影響を与えたのは儒家、つまり儒教でした。荒れた時代において、力と暴力が支配していた古代の時代に、こうした突出した思想家が生まれ、その思想が後に権力によって公認されていったのです。
同様の現象はインドでも見られます。インドにおける孔子に相当する思想家は、ブッダです。
これが中東やヨーロッパではキリストに当たるわけです。キリスト教、仏教、儒教というのは、古代の暴力が支配する時代に、強ければ何をしてもよいという風潮が蔓延していた時代に対して、「これはよくないのでは？」と道徳の重要性を説いた存在でした。中国ではそれが孔子でした。
その証拠に、仏教も後にインドで権力者に採用されました。マウリヤ朝の時代に仏教が公認されたのは、道徳や倫理が便利だと考えられたからです。ヨーロッパではコンスタンティヌス帝がキリスト教を公認しました。こうして権力者に公認された道徳という「ソフトウェア」が、中国では孔子の儒教として発明されたわけです。しかし、儒教が公認されるのはもう少し後の時代のことです。
イノベーションと貧富
戦国時代にはもう一つのイノベーションがありました。それが鉄の発明です。文字の発明も大きな進歩でしたが、鉄の発明によって農具が発達し、生産効率が大幅に上がりました。鉄は青銅よりも強く、壊れにくいため、農業が大きく進歩しました。これによって貧富の差が広がり、戦国時代の格差社会が生まれたのです。インダス文明でもアーリア人の流入と鉄器の導入によって同様の現象が起きました。
さらに、鉄の武器や農具が普及すると、青銅を使わなくなり、青銅を貨幣として使用するようになりました。これにより通貨が生まれ、貧富の差がさらに拡大しました。戦国時代はこのような背景の中でさらに加熱しました。そんな中で道徳を説いた孔子が現れましたが、まだ暴力の時代は続いていました。
秦の始皇帝 厳しすぎ
その暴力の時代に最も卓越していたのが秦の始皇帝です。戦国時代には多くの国が争っていましたが、始皇帝はそのすべての王を倒して中国を統一しました。彼はその功績から「王」では飽き足らず、「皇帝」と自称しました。これが「始皇帝」と呼ばれる所以です。
この始皇帝は非常に高い能力を持っていたため、国を統一することができました。なぜ秦という国が他のすべての王国を倒すことができたのか、そこにはもう一つ大きなイノベーションがありました。
一つは馬です。秦は最も西の方に位置していたため、優れた馬を独占的に手に入れることができ、他国よりも速く移動できるようになりました。これは現代で言えば、自動車を手に入れたようなもので、流通や交通が飛躍的に向上しました。
さらに、通貨のイノベーションもありました。各国はそれぞれ独自の通貨を発行していましたが、始皇帝の時代には丸い通貨が作られました。今では当たり前の円形のコインですが、当時は画期的な発明でした。三角形や五角形のコインは不便で、重ねても整わない。しかし、円形なら均等に重なるため、便利で使いやすかったのです。このような当たり前のことが、当時は大きなイノベーションでした。
さらに、始皇帝のもう一つのイノベーションは法家を重視したことです。ルールや法律を整えることによって、人々を強くし、統制することができると考えました。しかし、これには一つの問題も生じました。
始皇帝の大きな業績の一つに、万里の長城の建設があります。中国は常に異民族の侵入に悩まされていました。なぜなら、中国は広すぎたからです。広すぎる国は防御が難しい。広大な家に例えると、防犯のコストがかかりすぎるということです。中国の各国の王たちはそれぞれ城壁を作っていましたが、それをつなげたのが始皇帝でした。彼は既存の城壁をつなげて万里の長城を作り上げたのです。
このようにして、秦は他国を圧倒する力を持ち、統一を果たしました。
この「繋げる」という行為には多大な時間とお金がかかります。この大規模な公共工事は非常に労力を要するものであり、実はそれが気信号だったのです。大規模な土木工事を行った直後には、民衆が疲弊し、国が傾くことが何度もありました。無理な土木工事は、その時点では国民にとって大変な負担となりますが、後の世代にとっては遺産として役立つこともあります。しかし、その当時の国民にとっては耐え難いものでした。
このような大規模な工事の最初の失敗例が、始皇帝による万里の長城の建設だと言えるでしょう。とはいえ、後に多民族からの侵入を防ぐことができたのは、この万里の長城のおかげでもあります。そのため、これが良かったのか悪かったのかは一概に判断できません。
始皇帝は法家を重視し、ルールや法律を大切にしました。しかし、これが儒教と対立する原因となりました。儒教は道徳を大事にし、人徳のあるリーダーが必要だと説いていましたが、始皇帝はこれを嫌い、儒教を批判し、儒教を唱える者たちを大量に処罰しました。この処罰は単なる処罰ではなく、「焚書坑儒」として知られる書物を焼き、儒者たちを生き埋めにするという残虐な行為でした。古代にはこのような残虐な行為が多くありましたが、現代では行われていません。これは、歴史を通じて人類が学び、改善してきた結果です。
始皇帝は法家を重視するあまり、厳しいルールを制定しました。その結果、民衆は過酷な労働や遅刻などの厳しい罰に耐えられず、反乱を起こすことになりました。厳しすぎるルールは人々を良い方向に導かず、むしろ反発を招くことになります。これにより、法のデザインが間違っていることが明らかになりました。
例えば、土木工事の現場には何時に来るべきかという厳しいルールがありました。「万里の長城を建設するために、何時に来なさい」という命令に従わなければならなかったのです。「もし遅刻したらどうなるか」と尋ねると、「遅刻したら死刑です」と答えられました。厳しいルールのもとで、絶対に遅刻しないようにと言われていたのです。
しかし、もし遅れてしまったらどうでしょう。例えば、昼になってしまって「あ、遅れてしまった」と気づいたとします。「どうしよう、謝ったら許してもらえるかな」と考えて現場に行っても、始皇帝のルールは厳格なので、絶対に殺されるという恐怖があるのです。道徳を大事にしろと言っていた儒者たちを全員穴に埋めていた始皇帝の下では、謝っても無駄です。「もう反乱を起こすしかない」という結論に至るわけです。
つまり、厳しすぎるルールは、人々を良い方向に導かず、逆に反発を招くのです。絶対に遅刻したら殺されるのであれば、「もう行きません、逆に命を狙います」という反応になってしまいます。これが厳しすぎる法律の問題点であり、人々を反乱へと追い込む原因となります。
このような厳しい法律は、人々を良い方向に導かず、むしろ反発を招くのです。そのため、古代から時間をかけて、犯罪の重さに応じた罰則が整備されてきました。軽い犯罪には軽い罰を、重い犯罪には重い罰を与えるようになったのです。
現代では、犯罪の重さに応じた罰則が設けられていますが、これは古代からの試行錯誤の結果です。始皇帝の厳しすぎる法律は最終的に反乱を招き、彼の統治が終わることとなりました。このように、過去の失敗を通じて人類は学び、システムを改めてきたのです。
結局、始皇帝の厳しすぎる法律は最終的に反乱を招き、彼の統治が終わる原因となりました。このように、過去の失敗を通じて人類は学び、システムを改めてきたのです。
項羽 できない気持ちがわからない
反乱を起こした人たちの中で、次のスターが現れました。そのスターの二大巨頭は項羽と劉邦です。彼らは前漢の時代に非常に重要な人物であり、彼らだけで物語になるほどの存在です。
項羽は名門の出身で、非常に頭も良く、怪力を持っていました。まさに何も欠けていない完璧な人物でした。一方、劉邦は農民の出身で、身分は非常に低く、力も強くありませんでした。しかし、劉邦はひたすら性格が良く、人柄が優れていました。能力の項羽と人柄の劉邦という対照的な二人が、中国の歴史に残るエピソードを生み出していきました。
初め、項羽は八面六臂の活躍で次々と勝利を収めていきましたが、劉邦は負け続けました。しかし、劉邦には周囲からの助けがあり、それが続いていった結果、ついに項羽と劉邦の対決に至りました。
項羽は自分が一番できると信じ、部下を信用せず、部下の必要性を感じていませんでした。そのため、部下に非常に厳しく、ほとんど報酬を与えませんでした。「項羽のおかげでやれているのだから、報酬はいらないよね」という態度でした。このように、非常に厳しい上司はどうなるかというと、部下に裏切られるのです。
項羽は最後に追い詰められ、敵軍に囲まれました。自分の部下たちが次々と裏切り、劉邦の側に寝返りました。そして、項羽は四面楚歌の状態に陥ったのです。
項羽が四面楚歌の状態に陥った時、敵の部下たちが彼に向かってその歌を歌い、彼は部下に裏切られたことを感じ取りました。裏切った部下たちに囲まれ、彼は追い詰められました。まるで地獄絵図のようでした。彼の最後は、能力の高い項羽が追い詰められて敗れるというものでした。これは一種の教訓であり、日本の本能寺の変に似たエピソードです。
織田信長も、部下に厳しく接していたことで有名です。映画「首」を見ても、その様子が描かれています。信長は部下に厳しく接し、報酬は息子たちに渡すという姿勢を取っていました。これが部下たちの不満を招き、本能寺の変が起こったのです。「こんなブラック企業でやっていられない」と言って部下たちが反乱を起こしたのです。
項羽も同じように、自分の厳しさが部下たちの裏切りを招き、最終的に四面楚歌の状態に陥りました。
劉邦 人望と不信
これに対して、劉邦は人望があったと言われています。しかし、劉邦がトップになった時、彼は四高帝（秦の始皇帝）とは違う組織を作ろうと考えました。四高帝や項羽のような残酷な統治方法を避けようとしたのです。
四高帝は地方の王たちに土地を与え、その地を治めさせるという封建制度を採用していました。これは、日本の大名制度に似ています。各地にリーダーがいて、その地域を治めるという形です。
しかし、それがつまり独立国となって裏切ってくる可能性があると見越して、始皇帝は中央から官僚を派遣する方法を取りました。中央から各県に官僚を送り、地方は地方で自治をさせてくださいと主張する人々と対立しました。現在ではこの始皇帝の方法が一般的になっています。都知事や県知事が存在しても、その地域は国家の一部として組織されているので、例えば福岡が日本国から独立するとは言えません。
始皇帝の中央集権のやり方は革新的でした。ルールや法律の重要性を理解し、中央管理が大事だと考えていました。しかし、彼には道徳が欠けていました。道徳者たちを埋めてしまったからです。劉邦は始皇帝のようなことはしないようにと決意しました。彼は部下のおかげで成功したことを認識し、部下に権限を任せようとしました。しかし、途中から不安になり、特に優秀な部下たちが彼を裏切るのではないかと恐れるようになりました。
劉邦は最終的には部下を降格させたり処分したりして、自分の子供たちを派遣するようになりました。この部下を信じるかどうか、どれだけの権限を与えるかという問題は人類にとって大きな課題であり、劉邦でさえもこの問題に苦心しました。
劉邦が始めた漢王朝は、中国の歴史の中で長期にわたる王朝の一つです。真の王朝の後に劉邦が打ち立てた漢王朝は、中国史3000年に輝く長期王朝であり、全漢と後漢という二つの時期に分かれます。
漢王朝の始まりは、劉邦という人物の人望と能力により成り立ちました。彼は始皇帝のやり方とは異なり、部下に権限を任せる方法を取りました。しかし、途中で不安になり、最終的には自分の子供たちを派遣する形になりました。この部下を信じるかどうか、どれだけの権限を与えるかという問題は、劉邦でさえも解決が難しいものでした。
漢 武帝 道徳を守るが遠征で疲れる
劉邦の後には武帝という人物が現れました。彼は始皇帝の賢さを認めつつ、道徳の重要性に気づきました。武帝はついに儒教を公認し、皇帝システムと儒教の道徳を統治の仕組みに組み合わせました。これは、中国の統治のハードウェアに道徳というソフトウェアをインストールすることを意味します。
武帝が儒教を公認したことで、国民を統治する大きな力を手に入れたと言えます。これは古代の再生期とも言える重要な出来事です。人類は帝国と道徳という大きな武器を手に入れることになりました。
しかし、武帝は「武」の帝というだけあり、その統治には武力も重要な役割を果たしていました。彼の治世では、内政だけでなく外征も行われ、漢王朝の版図を広げることに成功しました。このように、漢王朝は内政と外政の両面で大きな成果を上げた長期王朝として、中国の歴史に名を残しました。
中国の皇帝には、本名以外に様々な異名がつけられることが多かったです。例えば、武帝や文帝などの名前が付けられるのは、その皇帝の特定の業績や特徴に基づくものです。戦いに強かった皇帝には「武帝」、政治に優れていた皇帝には「文帝」といった異名が付けられました。このため、歴史の中で同じような異名を持つ皇帝が複数存在することがあります。
また、「高祖」は王朝を立てた初代皇帝を指し、「太祖」はその後継者である二代目、三代目などを指すことがあります。このように、異名や称号が多いため、中国史の中ではしばしば混乱を招くことがあります。
漢の武帝（劉徹）は、強力な軍事力と遠征によって最大の領土を築き上げましたが、この遠征政策がやがて漢王朝の衰退を招く一因となりました。彼の治世においては、遠征による過度な出費や、国内の政治的不安定さが問題となりました。
宦官 女性問題の歪
そして、漢王朝の衰退にはもう一つの要因があります。それが「宦官（かんがん）」の問題です。宦官は、皇帝の身の回りの世話をする役職であり、そのほとんどが去勢された男性でした。宦官の制度は、皇帝の身近な人々が皇帝の後宮の女性たちと不適切な関係を持つことを防ぐために設けられました。しかし、この制度は多くの問題を引き起こしました。
去勢された男性は、皇帝の信頼を得るために一生をかけて忠誠を尽くすことが期待されましたが、権力を持った宦官たちが次第に政治に介入し、腐敗や権力闘争を引き起こすようになりました。この宦官の影響力は、漢王朝だけでなく、その後の多くの王朝でも大きな問題となり続けました。
このように、武帝の時代には軍事的な成功とともに、遠征による財政的な負担や宦官による権力の乱用など、様々な問題が交錯していました。これらの要因が漢王朝の後半における衰退を招いたのです。
そうですね、宦官（かんがん）制度は、中国の皇帝の宮廷で非常に重要かつ問題の多い制度でした。宦官は、皇帝の側近として高級後宮（後の江戸時代の「大奥」に相当する）の管理や皇帝の日常の世話を担当していました。宦官が重用される理由は、皇帝の女性たち（妃や側室など）と不適切な関係を持つことを防ぐために、彼らが去勢されている点にありました。
宦官の地位は次第に上昇し、宮廷内で重要な役割を果たすようになりました。多くの人々が裕福な生活や権力を求めて宦官になることを選びましたが、その代償として生殖能力を失うという大きな犠牲を払うことになりました。このため、宦官たちは自己の権力と地位を守り、さらに向上させることに非常に執着するようになったのです。
皇帝が強く賢明な時期には、宦官たちは皇帝の命令に従って忠実に仕えましたが、皇帝が弱体化したり無能だったりすると、逆に宦官たちが宮廷内の権力を握ることになりました。宦官たちは、自分たちの影響力を強めるために、しばしば幼い皇帝や無能な皇帝を擁立し、彼らを操る形で実質的な権力を掌握しました。
これにより、宦官の腐敗が広がり、政府の効率や公平さが著しく損なわれました。漢王朝（全漢）は、こうした宦官の腐敗と内紛によって次第に弱体化し、ついには新（しん）という王朝に取って代わられました。しかし、新王朝は短命であり、再び漢王朝が復興して後漢（ごかん）が成立しました。
後漢の時代には、再び名君（めいくん）が現れ、国家を立て直す努力がなされました。その中でも特に有名なのが、光武帝（こうぶてい）です。光武帝はその名の通り、輝かしい業績を上げた皇帝として知られています。
光武帝の統治下では、宦官の権力を抑制し、腐敗を一掃するための改革が進められました。彼の時代には、国家の安定と繁栄が取り戻され、後漢の黄金期が到来しました。後漢の時代には、文化や技術の発展も見られ、漢民族の誇りとするところとなりました。漢字もこの時代に体系化され、その後の中国文化の基盤を築くこととなりました。
このように、宦官制度の利点と欠点が顕在化する中で、歴代の皇帝たちは様々な挑戦に直面しながらも、国家の繁栄と安定を追求し続けました。
そうですね、戦争や欲望の弊害に気づいた光武帝（こうぶてい）は、戦争を禁止し、内政を重視する政策を推進しました。これにより、減税や奴隷の解放などを行い、国民に寄り添った統治を行いました。彼の治世によって後漢（ごかん）は一時的に繁栄しましたが、宦官制度の問題が根深く、皇帝の後継者が幼くなると、宦官たちが再び権力を握ることになりました。
光武帝の後、彼の次の皇帝も大人で即位しましたが、その後の皇帝たちは若年で即位することが多くなり、宦官たちが宮廷内で実権を握るようになりました。特に、幼い皇帝が即位すると、宦官たちが彼を操る形で実質的な支配を行うようになりました。これにより、宮廷内での腐敗と権力闘争が激化し、後漢王朝は次第に弱体化していきました。
宦官たちは、皇帝が幼少で無能であることを利用し、彼らの権力を強化しました。皇帝が成長しても、彼らの影響力は依然として強く、宮廷内の権力構造は宦官に有利な形で維持されました。これにより、後漢王朝の統治はますます不安定になり、最終的には内乱や外部からの攻撃に対処できず、滅亡へと向かいました。
光武帝の改革は一時的に成功しましたが、宦官制度の根本的な問題を解決することはできず、その影響は後の世代にまで及びました。このように、宦官制度と宮廷内の権力闘争が、中国の歴代王朝の繁栄と衰退に大きな影響を与えました。
