純粋 無垢 こんな意味を表す言葉として、日本語では「ピュア」と「ナイーブ」という言葉があります。どんな使われ方がするのでしょうか。意味の違いはあるのでしょうか?
今回はちょっと趣向を変えて英語の話、というより和製英語のお話です!!
日本で英語の単語をつなぎ合わせたり変形させたりして、英語らしく作った言葉のことです。「ゴールイン」「スキンシップ」「バックミラー」も和製英語、本当の英語にはない単語だったんですね!!
さてさて、日本でもよく使われている言葉に「ピュア」と「ナイーブ」という言葉がありますね。これも日本語と英語の使い方で違いがあるんですよ。
ピュア
デジタル大辞泉 によると
ピュア【pure】
まじりけのないさま。純粋。また、けがれがないさま。純潔。「ピュアな白」「ピュアな心」デジタル大辞林
となっています。言うまでもなく、英語の「pure」から来ている言葉ですね。英語の意味を調べてみますと……
- [usually before noun] not mixed with anything else; with nothing added
まじりっ気のない、何も追加されていない - clean and not containing any harmful substances
清潔で有害なものがなにもない - [only before noun] complete and total
完成または全て - very clear; perfect
とても清潔である、完全である - without evil thoughts or actions, especially sexual ones; morally good
邪悪な考えや行動、特に性的な汚れがない、道徳的に良い - [only before noun] about increasing knowledge of the subject rather than using knowledge in practical ways
何かに役立つかどうかに関係なく、純粋に学問としての知識を増やしていくこと - not mixed with any other breed or race, etc.
雑種でないこと
オックスフォード英英辞典にはこのように説明されていました。
これらの情報から考えると、ピュアには「何かに染まったり別のものが混じっていない、純一な状態」このような意味があることが分かります。
ピュア ~
「ピュア~」 という表現で「混じりけのない~」という意味になります。例えば、ピュアゴールド で純金という意味になります
ピュアな気持ち
またピュアには澄み切った清々しい状態を表すのにも用いられます。「ピュアな気持ち」といえば、澄み切ったすがすがしい心を示しています。
ピュアな精神 ピュアな恋愛
汚れがなく無垢な存在を指してピュアという言葉を使うこともあります。
ピュアな人
清らかで自然体の心を持った人を指すとき「ピュアな人」ということができます。一方で、皮肉を込めて、「世間知らずで素朴な人」をそのように呼ぶこともあります。
ナイーブ
次は「ナイーブ」という言葉です。こちらもデジタル大辞泉を見てみましょう。
ナイーブ【naive】
飾りけがなく、素直であるさま。また、純粋で傷つきやすいさま。単純で未熟なさま。「ナイーブな感性」「ナイーブな性格」デジタル大辞林
日本語にはこのような意味があります。日本語の「ナイーブは」純粋な、素直な、傷つきやすく繊細、というような好意的な意味合いで用いられます。
ナイーブな人
使い方として、「ナイーブな人」と言われると、純粋で傷つきやすい人、繊細な人というニュアンスになります。また、考えすぎてしまう人、冗談を本気で受け止めてしまうような人、言われたことを重く受け止めてしまう人、このような人もナイーブな人と形容されます。
ナイーブなところがある
また、「あの人はナイーブなところがある」という使われ方もします。「彼はナイーブだ」と断定するより柔らかなニュアンスになりますが意味に変わりはありません。
ナイーブになる ナイーブな気持ち とは言わない
「ナイーブ」は人の性質を表す言葉で、性質というのは基本変わらないものです。そのため、「ナイーブになる」とか「ナイーブな気持ち」というふうに一時的な感情や状況を指すときには使いません。「ナイーブな性格」という表現はあっても「ナイーブな気持ち」とすることはできません。
英語のNaiveは要注意!!
このナイーブ、英語で使うときには注意が必要です。ではこちらも、オックスフォード辞典から英語の意味も見てみましょう。
- (disapproving) not having enough knowledge, good judgement or experience of life and too willing to believe that people always tell you the truth
人生について十分な知識や判断力、経験がないために、人が語ることを安易に信じてしまうこと - (approving) (of people and their behaviour) innocent and simple
単純 - (specialist) (of art) in a style which is deliberately very simple, often uses bright colours and is similar to that produced by a child
芸術面で意図的に子供が使うようなシンプルで明るい色を使用すること
このように英語には、幼稚だとか世間知らずだとかいうネガティブな意味の言葉として使われています。先ほど考えたとおり日本語では、純真とか初心とか繊細といった意味でつかわれますが、英語ではそのような使い方はされません。マイナスの意味にしか使いません。それで、例えば、”You’re naive.”と言われれば、多くの人は馬鹿にされたように感じ、腹を立ててしまうでしょう。意味のギャップがあるので注意が必要です。
日本語の「ナイーブ」に相当する英単語としては、
「傷つきやすい」:”sensitive”・”delicate”
「純真」:”pure”・”innocent”
「素直」:”gentle”
このような言葉を当てることができるでしょう。
ピュアとナイーブの違い
では、ピュアとナイーブにはどんな違いがあるでしょうか?
日本語において、ピュア にも ナイーブ にも、純粋 という意味があります。しかし日本語の使われ方において、
ピュア: まじりっ気のない純一な状態。人、モノどちらにも使う。
ナイーブ: 傷つきやすい繊細な人。もっぱら人の性質に関して用いる
このような使われ方の違いがあります。また、ピュアは努力によって純度を増していったり誤った行動で失われてしまったりと変化するものですが、ナイーブは人の生来の性質であるがゆえに変わらないものであるという点でも違うでしょう。
そうでしたね! 英語では意味がぜんぜん違います。
Pure: まじりっ気のない純一な状態。
Naive: 世間知らず 幼稚
英語と日本語で意味が変わってきますので用心したいものですね。