海外で生活。とっても響きは美しいですが、理想だけではありません。海外生活で失う可能性がある3つの大切なものを取り上げて、外国での生活の現実をお伝えしたいと思います。それとともに、失うからこそ得られるものについてもお伝えしますね。
この1月で、私Toshiは海外生活4年目に突入しました。周りの方々に比べればまだまだ青二才なのですが、4年間海外で生活していろいろな経験をしました。楽しい経験はたくさんありましたが、それと同時に現実にもぶち当たります。この記事では海外生活で失いやすい4つのものをご紹介します。この4つのものを失ってみて初めてわかった気持ちも合わせて書いてみたいと思います。
1. 友達
海外生活でまず失うものは、日本の友達です。最初は連絡を二三回するものの、そのうち連絡も途切れ、一時帰国の際に会おうも予定が合わず、結局疎遠になっていきます。あれほど親友だと思っていたのに今では離れ離れになってしまったと寂しい気持ちになるかもしれません。
その国に到着すると友達をつくるために一生懸命努力することになります。しかしどれほど頑張っても、関係の浅い友達は多くできても、親友と呼べるような深い友達は作りにくいです。どうしても言語が邪魔します。仲良くなっても、どうしても言語がついていかず、コミュニケーションが上手く行かない自分がいやになってしまうこともしばしば。
実はひとりじゃないことに気づく
でも面白いことに、独りになった時、実は自分はひとりじゃないということにも気づくものなんです。今まで気づいてなかったものの陰ながら純粋にエールを送ってくれている存在に気づいて嬉し涙が出ることも。
そして、今まで気にとめていなかった、みんなに輪から外れた人たちが目に入るようになりました。自分と同じ寂しさをこの人も味わっているんだろうなと思えるようになった自分がいることに気づくことがあります。

2. アイデンティティー
「自分探しの旅に出る!」。自分を知るために海外に出てみたいと思われることがあるかもしれません。しかし外国に行くと、逆に自分を見失います。海外では変化の連続!多くの問題やストレスの中、今まで普通にできていたことができなくなり、すぐに動揺したりイライラしている自分に気づきます。「自分ってこんなにだめな人間だったっけ?」とふと思いまたがっかりしてしまうことも。今まで自分らしさだと思っていたことが、実は自分らしさじゃなかったなんて気づくことになります。自分がなくなったように感じて、ものすごく孤独感や空虚感を感じることがあります。
新しい自分に気づく
自分らしさ、アイデンティティーはたしかに大切です。でも、海外に出てから、アイデンティティーがわからなくなり、新しい自分をする、そのような経験を通して謙虚さや思いやりが生まれました。自分の今まで知らなかった弱さをしり、そんなときに誰かからの助けを受けて、感動し、人のことを慮れるようになる。人は実績や長所だけで図れるものじゃないと感じ、人に対して優しくなれる。なのでアイデンティティーがなくなるという経験は全て悪いとは今では思いません。
3. 居場所
海外で生活し始めると、あなたは「ガイジン」です。別に周りの人があからさまに差別しているわけではありませんが、どこか周りの人とは違う雰囲気をいつも感じます。また、どこで何をするにしても日本の数倍神経を使います。買い物も移動も仕事も日本では普通のことが外国ではサバイバル。ほっとできる居場所がどこなのかわからなくなることが。
かと言って久しぶりに日本に帰ると、日本の家族や友達は日本の流れで生活しています。そちらにも溶け込めず、自分の居場所ってなんなんだろうと孤独感をもんもんと抱えてしまいます。
思いやれるようになる
いままで、組織の中で結果が出せない人に対して厳しい自分がいました。日本に住む外国人に対しても以前は厳しい見方をしていたともいます。しかし、外国に出て、自分の居場所をなくしてみて、同じ立場に立つこととなりました。それで、日本で頑張っている外国の方を見たときも「がんばって!」と心のなかで言いたくなる自分がいたり、組織に馴染めない人の気持ちがわかったりできるようになりました。また、自分が居場所がないように思えても、隣りにいる人が楽しそうならそれでもいっかというような気持ちに時々なれるようにもなりました。
4. 自尊心(自己肯定感)
何度もお伝えする通り、海外では今まで普通にできたことができなくなります。日々のストレスや変化のために容易に感情が浮き沈みして、セルフコントロールできない自分にまた嫌になります。言語が話せず、会話についていけない自分にも嫌になってきます。それで容易に「自分はだめだ」「自分には価値がない」「いてもいなくても一緒ではないか」と思うようになってしまいます。
感謝できるようになる
自分はクズのようだ、消えてしまいたい、そのように思う時、それでもだれかがわたしに純粋に支えや助けを与えてくれるんです。どうしてかというとあなたがいてくれてよかったからと言うのがその理由。自分のことを受け入れてくれているということに最初は同意できなくても、乗り越えた時、自分の隣りにいてくれる人への感謝が深まりました。自分のことだけを考えるのではなく、周りを見れるようになったんだと思います。
有り難い人生
海外に行ったあと、悩んでいたとき、私の友がこんな事を言ってくれました。
困難、苦難、難題、これら
「難」が無い人生は……無難(ぶなん)な人生
「難」が有る人生は……有り難い(ありがたい)人生
とコミカルに教えて下さいました。
なくすものがない、楽な道、でもそんな問題がないような毎日って「無難」な毎日なのかもしれません。反対に、困難や苦難、試練があるからこそ忍耐や謙虚さ、思いやりが育ち、結果「有り難い人生」と感じることができるようになれる日が来るのかもしれませんね。
海外生活で失う可能性がある3つの大切なものを取り上げて、外国での生活の現実をお伝えさせていただきました。でも、私は若いうちにこのような経験ができたことは一つの宝だと思っています。もしあなたが今海外で忍耐が必要な状況にあるなら、ぜひ将来、その経験が「有り難い人生」と思えるときが来るということも覚えておいてください。