ベトナム語中級以上になってくると気になるのが、自分の話しているベトナム語に対して周りの人はどう感じているのだろうという点です。今日は、ベトナム語における礼儀正しい言い回しというのがどのようなものなのかお話させてください。
省略はダメ!

語学の最初の頃は、どうすれば言いたいことを伝えられるかということで頭がいっぱい。でもだんだん慣れてくると、自分の話し方は相手にどう聞こえているのか、不敬だったりぞんざいだったりしていないか、自分の真心は本当に伝わっているのかと考え出す時期がきっときます。
また、あなたがベトナム語中級に入りだすと、それなりの敬意ある言い回しを期待します。学びはじめの頃は許されたことも、中級に入ると不敬だとみなされてしまうことも……
それで、ベトナム流敬意ある言い方とはどのようなものなのか、この記事で考えてみましょう
全部言わないほうが礼儀正しい日本語
とそのまえに、私達の日本語について考えたいと思います。

それは、日本語による礼儀正しい言い方と、ベトナム語におけるそれはズレがあるからなんです。
日本語はじつは、「省略」を愛する言語です。例えば、「行ってきます」というとき、わざわざ「私は行ってきます」なんていいませんね。会話中、話題に上っているものや人のことを言葉にすることは省略されがちです。ある統計によると、日本語の会話では実に74%の主語が省略されていると言われています。
また、日本語は状況がわかるならくり返し言わない傾向があります。レストランに行って「なにをたべたい?」と聞かれた時「私はカレー! 」なんていいますね。しかしこれは「私=カレー」と言う意味ではもちろんなく、「私はカレー(が食べたい)」と省略されているというのは、日本人であれば誰でもわかること。
そして何よりも、日本語は全部言わないほうが礼儀正しいという美徳があります。「今日一緒に食事に行いきませんか?」と誘われた時「すみません、今日はちょっと……」と濁して答えますね。もしも「今日はいけません。」というとなんともぞんざいな言い方になってしまいます。
他にも日本語は「そろそろ時間なので……」「お電話が遠いようなのですが……」と最後まで言い切らない方が礼儀正しいとする言葉です。

できるだけ言ったほうがいいベトナム語
対するベトナム語は真逆、端折らないでできるだけ全て行ったほうが礼儀正しいとされる言語です。

そう! 例えば、
家族をどう思いますか
→ Anh nghĩ rằng gia đình của anh như thế nào anh?
上のベトナム語、直訳すると「あなたは、あなたの家族をどう思いますか」となります。このように普通、ベトナム語は主語をカットしたり、~の という所有主を示す言葉を省略したりはしません。下手すると上の分のように一番最後にも相手を示すanhという言葉が入ってるようなこともあります。
nghĩ rằng gia đình thế nào?
これでも通じてしまいます。しかしこのように略すと「家族についてどう思ってるの??」のようなとてもフランクな言い方になってしまいます。友達同士ならいいものの、目上の人にこのような言い方をすると大変失礼になってしまいます。
そう、ベトナム語はできるだけ全ていったほうが礼儀正しい言語なのです。
行ってきます
→ Con đi học nhé. (ボクは学校に行ってきます)
お先に失礼します
→ Em về trước nhé. (私は先に帰ります)
何人家族ですか?
→ Gia đình của anh có mấy người? (あなたの家族は何人いますか。)
このように、話題に上っているものや人を省略せずに伝える、これがベトナム流の礼儀正しさです。
省略しないでいってみよう!
じゃあここで練習してみましょう!
今日何をしましたか
えーと、映画を見ました。
なんの映画ですか?
新しいトイ・ストーリーです。
どうでした?
とっても楽しかったです、絶対見るべきですよ。
わかりました、週末見に行きますね。
-
-
ベトナム ホーチミンの映画館で一足早くトイ・ストーリー4を見てきた
ベトナムではアメリカと同じく2019年6月21日から「トイ・ストーリー4」の上映が始まりました。日本より一足先に「Toy Story 4」を見に行ってきました。
続きを見る
日本人のよくある会話ですね。ではこれをベトナム人と会話するなら、どのようにベトナム語に訳しますか?
Hôm nay em đã làm gì vậy?
Dạ, em xem phim rồi.
Em xem phim gì ?
Em xem Câu chuyện đồ chơi mới.
Em cảm thấy thế nào về đó?
Em cảm thấy rất thú vị. Anh chắc chắn nên xem đó.
Anh biết rồi. Anh sẽ đi xem phim đó vào cuối tuần nhé.

そうですね。目上の人と話す時はこのように細かく主語や代名詞を訳出していくようにしましょう。
もちろん、友達の間では主語やわかっているような語句は省略されます。省略すればするほど、フレンドリーな、もしくはフランクな言い方となります。
文末に相手を指す言葉を添える
私もよく間違えてしまいますが、我々日本人、会話となるとどうも「主語」を抜いて話してしまいます。ベトナム人と話す時はものすごく意識して主語を入れるように努力しています。それでもよくいい忘れるので、よく注意されますね。
主語を忘れてしまった時の奥の手として、文末に相手を表す主語の言葉を言い添えると丁寧な言い方になります。
Dạo này thế nào anh?最近どうですか?
Điều này có đúng không chị? これは正しいですか?
こんな感じで文末に相手を表す言葉を添えると丁寧な言葉になります。試してみてくださいね。
言葉の感覚

そう、言語学習というのは単なる言葉の置き換えではなく、考えの置き換えです。ぜひベトナム語のその言葉の感覚を抑えて、心からのベトナム語を話せるようになっていきたいですね。ベトナム語の一つの感覚、それは……

そう! ベトナム流の礼儀正しいベトナム語を話して、あなたの敬意をベトナムの人達に伝えてゆきましょう!!